今年の夏は17年ぶりの石垣島です。ダイビングしてマンタを見て、沖縄料理と焼肉を食べました。こうしてのんびり夏休みしていられるのは、お世話になっている皆様のおかげです。ありがとうございます。と書きたかったのですが、タイミング悪く子どもが風邪をひいてしまい、石垣旅行はキャンセル。自宅での夏休みになりました。残念ですが仕方ありません。一番残念に思っているのは子どもでしょうからね。石垣島はいつでも待ってくれているので、またの機会に。仕事が立て込んで忙しい時期だったので、切り替えて仕事に精を出すことにします。ちなみに飛行機をキャンセルする際、医師の診断書を航空会社に送ると、取消手数料がかからず全額払い戻しされます。本人だけでなく同行者にも適用されるありがたい制度。貴重な情報なのでご共有です。
さて、2025年7月1日から、福井秀明事務所は2年目に入りました。この1年間でたくさんの新しい体験をし、実感しました。その中から5つほど挙げてみようと思います。
①広告じゃない方の仕事が増えている。
つい10年ほど前まで、電通のコピーライターである僕の仕事は「メディアに載せる広告をつくる仕事」でした。テレビCMや新聞広告や屋外ポスターといったメディア枠を買ってくださるクライアントに、そのメディアに載せる広告表現物を制作して納品する、というのが仕事のほとんど。十年一昔と言いますが、この10年でコピーライター福井秀明の仕事内容は大きく変わりました。2025年現在、広告制作は、僕の仕事の約半分です。残りの半分は、企業やブランドのパーパスやビジョンを言語化したり、新規事業の価値を言語化したりそのネーミングをしたり、企業文化をアップデートしていくためのインナープログラムをつくってその柱となるメッセージをつくったり、全社員が参加するイベントにおけるコンテンツをつくったり、といった広告じゃない方の仕事です。
2018年に広告を禁じ手とする部署に異動するなど、「広告はクライアントの未来を創造する手段のひとつにすぎない」を実践してきた僕なので、広告じゃない方へのシフトは早かった方だと思います。ただ、広告の仕事が減り続けているかというと、そうでもありません。広告の仕事が減っているというよりは、広告じゃない仕事が増えている。ここ2,3年は「広告半分・広告以外半分」くらいの割合で釣り合っている感じです。広告市場が飽和状態の今、コピーライターが広告じゃない方へ進出していくのは必然的な流れかもしれませんが、その進出を支えるのは広告で培われた能力だと感じます。結局、何が問題なのか。結局、どこが価値なのか。結局、未来はどっちの方にあるのか。結局、人はどうしたいのか。みたいな本質的思考を通じて言葉をつくっていくコピーライターの能力は、広告の仕事を繰り返すことで最も鍛えられます。広告の技術が広告じゃない仕事で役立ち、広告じゃない仕事で経験したことが広告の仕事に新たな視点をもたらす。両方やることが自分の中で相乗効果を生み出すことが経験的にわかっているので、僕はこれからもこの二刀流で行きたいと思っています。
②結局、仕事は全部受けてしまう。
せっかくフリーになったんだから、仕事はほどほどにしてプライベートを充実させて、、、などと思っていたのですが、蓋を開けてみると、目一杯仕事しています笑。「今は忙しいけど、いつ暇になるかわからない」という恐怖心から「稼げるうちに稼がなければ」という思いに駆られ、声をかけていただいた仕事は全部受ける。というのはフリーランスあるあるでしょうか。何事も、当事者になってみないとわからないものです。
ところでフリーになって思ったのが、「俺、新規案件に対するモチベーションが異常に高くなってる」です。電通時代は、新規案件の相談が来ると、「いやもうすでに忙しすぎてパンパンなんだけど」「これ以上仕事増やしても、給料増えるわけじゃないし」という後ろ向きな気持ちを抑えつつ、「この仕事をやる意義」を自分なりに設定して仕事を受けていたものでした。これがフリーになると、意識がまったく別物です。案件増は収入増に直結するので、「ぜひともやらせてください!」と純度100%の前向きな気持ちでお受けするようになっています。
正直申し上げると、お受けした仕事の全てで期待を超えられたわけではなく(競合に負けてしまったりとか、途中でクビになってしまったりとか)、声をかけてくださった方には本当に申し訳ないと思っています。その一方で、継続してやらせていただいている仕事があったり、繰り返しお声がけくださる方がいたり、福井秀明事務所のウェブサイトやこのブログを読んで初めて声をかけてくださる方がいたり、少しずつではありますが取引先が広がっていることをありがたく思います。ダメだった時の申し訳なさは半端じゃないが、良かった時の嬉しさも半端じゃない。というのがフリーの実感ですね。期待を超える打率を上げていきたいです。そしてこれからも、自分の限界を超えない限りは、お声がけいただいた仕事は全てお受けしようと思っています。
③ChatGPT Plusは最高のアシスタント。
すでに多くの方が実感されていると思いますが、月額たったの200ドル(3千円くらい)で、優秀なアシスタントを雇っている気分です。人を雇うほどの余裕がないフリーの人間にとって、ありがたい存在。膨大な資料のとりあえず要点だけ知りたいときとか、ネーミング作業で行き詰まったときとか、英語のコピーがネイティブ的にどうなのか知りたいときとか、クライアントの社長にインタビューする前にその社長が過去にメディアで語ったことを知っておきたいときとか、とあるテーマについて自分なりに組み立てた仮説の強度を確かめたいときとか。土日でも夜中でも何度やり直しをお願いしても文句一つ言わないどころか喜んで協力してくれる最高のアシスタントです。「とりあえずGoogle検索」から「とりあえずChatGPTに聞く」へ。Chat GPTが言ってることの裏をとるために結局は自分で調べるのですが、ゼロから調べるよりも手間と時間が大幅に短縮しています。ちなみに僕は「入力データを学習されない設定」にしています。仕事で取り扱う非公開情報を流出させないための基本的な設定ですね。
ChatGPTは使いながら慣れていくしかないと思っていますが、僕は体系立てて学ぶのが好きなので、とりあえず2冊の本で勉強しました。
『ChatGPTを使い尽くす!深津式プロンプト読本』
まずはこの一冊。知識ゼロ・経験ゼロから、ChatGTPを不自由なく使いこなせるようになります。生徒と先生の対話形式で話が進んでいくので読みやすいです。
『プログラミング知識ゼロでもわかる プロンプトエンジニアリング入門』
AIから狙い通りの回答や、より品質の高い回答を引き出すためのプロンプト技術をプロンプトエンジニアリングと定義。豊富な用例と共に理論的に学べます。教科書的に順を追って学びたい方におすすめです。
昨年の今頃の僕は、「生成AIでコピーライターがいらなくなるのでは?」と心配していました。実際に使ってみてわかるのは、ChatGPTは長い文章を短くしたり、要点をまとめたり、要素から文章をつくるのは上手。ただし解釈やアイデアを必要とする領域は苦手ですね。少なくとも現時点では。とはいえあと数年たって生成AIの能力が人間に追いついてくることは想像に難くありません。そのとき大切になるのは「生成AIに指示を出すプロンプトの能力」と、「生成AIが出してきたものを評価したり選択する能力」だと思います。それは僕の業界で言えば「クリエーティブ・ディレクター(CD)」の役割そのもの。ということで、コピーライター出身のCDである自分は、生成AIとうまく共存していけるのではないかと楽観的に考えています。とにかく使いながら一緒にやっていくのが一番ですね。この流れは不可逆だと思うので。
④税理士と契約してよかった。
自分で言うのもなんですが、僕は事務作業は得意ではありませんが、やろうと思えばできるタイプです。今はfreee会計ソフトのような便利なサービスもある。税理士に頼まず自分でやり切るという選択肢もありましたが、やはり税理士に頼むことにしました。「得意ではない会計作業に時間を取られ不安やストレスを感じながら仕事をするよりも、得意なことに集中できる環境を整えた方がいいはず。特に最初のうちは」と考えたからです。結果的にこれは大正解でした。もちろんコストはかかります。日常的な会計処理(収入と支出の管理/支出の勘定科目の仕分けなど)に数万円/月ほどで、確定申告の時期は十数万円加算されます。あと「これって経費になりますか?」「この支払いは業務用クレジットカードでやった方がいいですか?」「税務署からこんな書類が来たんですけど何ですか?」など、LINEで質問するとすぐに教えてくれたりもする。で、年間で50万円ほど。安い買い物ではありませんが、会計に関する不安やストレスを感じることなく、得意なコピーライターの仕事に100%集中できる環境を買っていると思えば、割のいい投資だと思っています。もちろん経費になりますし。フリーランス最大の難関イベントである確定申告をノーストレスで通過し、そのあとで遅れてやってくる住民税などの対策もバッチリ。ただ、いずれは自分でできるようになりたいとは思っています。大企業ではなく、自分一人の規模なので、やろうと思えばできるはず。こういうのって最初の一回が一番大変ですが、一度やってしまえば次からは楽にできると思うので。
⑤人生は一度きりである。
いずれ死ぬ、という事実を常に意識しながら生きることは、難しいことです。しかしこの事実を頭の片隅にでも置き続けることができたら、人生の充実度は高まるのではないかと思います。僕くらいの歳になると、子どもの頃に憧れていた芸能人やスポーツ選手が亡くなったというニュースが頻繁に目につくようになります。親族や、仕事でお世話になった先輩が亡くなるという辛い出来事も増えてきました。そのたびに、ああ、あんなにすごい人でも死んでしまうのだなと思い、自分は自分の人生を生きているのだろうか?死ぬ時になるべく後悔しない生き方をしたいけどどうすれば?それは今の生活の延長線上にあるのか?などと自問自答します。一晩寝たら忘れてしまうのですが笑。生きてるだけで丸儲けという考え方も好きですが、できれば、自分の考える自分なりの役割を果たせたかもなぁと思いながら死んでいけたらと。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。福井秀明事務所が1年間、それなりにやってこられたのは、お声がけをいただいた全ての皆様のおかげです。ありがとうございます。初心を忘れず、これからも全力で仕事に取り組んでまいります。困っている人がいつでも相談に来られる存在であること。なるべく早くお困りの原因を特定して解決策を出せること。たとえすぐに解決できなくても、自分と関わることで、困っている人が少し安心できるような、そんな存在になれたらと思っています。イメージは町のお医者さんです。引き続き、よろしくお願いいたします。
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