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クラシック音楽は第九とボレロくらいしか知らない僕に、音楽の仕事が来た。

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クラシック音楽は第九とボレロくらいしか知りません。そんな僕に音楽の仕事が来た。music dialogueという一般社団法人で、室内楽をプロデュースしているという。「室内楽って何?部屋の中でやる音楽?」そこから調べるレベルの僕でした。この仕事をつないでくださったのはさとなおさんこと佐藤尚之さん。クラシックへの造詣が深く、music dialogueのサポートをされているのだそう。「僕、クラシック全然詳しくないんですけど」と言ったら、「クラシックがわからない人にもわかりやすく伝えたいので、そこは気にしなくて大丈夫」とのこと。うーむ、大丈夫かな。

クラシック音楽とは「再現芸術」である。

専務理事の伊藤美歩さんにヒアリングする機会をいただいたのですが、基本のキから教えてくださって、とてもとてもおもしろかったです。まず、クラシックは「再現芸術」であると。ずっと昔に作曲家が残した楽譜を手がかりに、作曲家の生き様や当時の時代背景に想いを馳せながら再現を試みる。ビートルズみたいにオリジナルの音源がないから、正解が存在しない。作曲家が表現したかったのはこういうことだったのではと解釈・推測しながら再現を試みるわけですね。だから指揮者や演奏者の数だけ解釈の幅があり、多様な演奏表現がいわば無限に生み出されるのだと。

だからこそ、演奏者に求められるのは演奏技術だけではない。作曲家の人生、当時の社会情勢、そして時代が変わっても変わらない人間の本質に対する造詣の深さがないと仕事にならないのだとか。高い演奏技術はもちろん必要だが、知識・教養・哲学・人生観、そして指揮者や他の演奏者とのコミュニケーション力といったトータルな人間性が求められる。ところが日本の音楽教育はコンクールを重視した技術偏重になりがちで、人間性を磨く場が十分ではないということでした。クラシックって、そうだったのか。全然知らなかったよ。

そんな課題意識のもと、music dialogueは室内楽をプロデュースしています。室内楽とは、2-10人ほどの少人数で演奏される合奏のこと。基本的に各楽器に1人の演奏者しかいないため、オーケストラとは違い、楽器ごと演奏者ごとの個性が際立つ。そしてオーケストラとの最大の違いは、指揮者という絶対的なディレクターがいないこと。演奏者たち自身がそれぞれの解釈を持ち寄って議論し、音楽を創り上げていく必要があり、ここで前述の「トータルな人間性」が試されるし磨かれるのだそう。music dialogueが室内楽をプロデュースする理由はまさにここにあり、日本の演奏者たちにその人間性を磨く場を提供するため。話を聞くまではなんとなく、オーケストラが1軍で室内楽は2軍、みたいなイメージを持っていたのですが、とんでもない。室内楽はオーケストラとは異なる進化を遂げてきた超知的エンターテインメントであることを知るのでした。しかもmusic dialogueの素敵なところは、演奏会の本番だけでなくリハーサルにも観客が入れて、演奏者たちが議論しながら音楽を創り上げていく過程を目の当たりにすることができるイベント「ディスカバリー・シリーズ」など、クラシックの新たな楽しみ方を提供してくれるところです。

クラシック初体験の相手が、ショスタコーヴィチでした。

実際にディスカバリー・シリーズを見せていただきました。生まれて初めて、自分でお金を払って鑑賞したクラシック音楽。作曲家はショスタコーヴィチ。って誰?クラシック初心者の僕にはちょっと荷が重かったかもしれませんが、そのリハーサルの場で感銘を受けたことがありました。ピアノ奏者の方がパリの音楽院で助教授をされている、それはもう第一人者っぽい方だったのですが、その方がこのコンサートに臨むにあたり、ショスタコーヴィチの本を読んで勉強してきたというのです。そんなベテランの方でも、楽譜の読み込みや演奏の練習以外に、作曲家の人生に迫るための勉強をしているんだなと。ちなみにその本は『音楽は絶望に寄り添う ショスタコーヴィチはなぜ人の心を救うのか』。リハーサルのその場でAmazonで買いました。双極性障害に苦しむBBCの音楽番組プロデューサーが、自分がなぜショスタコーヴィチの音楽に癒されるのかを追求していくドキュメンタリーです。クラシック音痴の僕でも夢中で読みました。その後に本番を鑑賞し、なるほどと思いました。知識を得た上で聴くと、クラシックはおもしろいんだ。ワインとかウイスキーに近いものがありますね。そんなこんなで室内楽への理解を深め(とはいえまだ浅いけど)、コピーを考え、さとなおさんのバーに行ってコピーをチェックしていただき、最終的に伊藤さんのご意見も踏まえて完成したのが「音楽とは、対話だ。」というヘッドラインと、それに続くステートメントです。

出来上がってみれば、music dialogueという団体名を日本語にしただけだったりするのですが、この団体の存在価値、そしてクラシック音楽のおもしろさの一面を定義するものになっていたらうれしいです。

クラシックのおもしろさを教えてくれた伊藤さんをはじめ、music dialogueのみなさんに感謝。そしてこのような出会いをくださったさとなおさんに感謝。クラシックにご興味のあるみなさんはもちろん、僕のようにクラシック音痴なみなさんも、music dialogueを通じて室内楽のおもしろさ、演奏者たちの人間性に触れ、そして何よりも、すでにこの世にはいない作曲家との時空を超えた対話をお楽しみいただけますと大変うれしく思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。あなたの人生にとって少しでもプラスになる情報をお届けできたらうれしいです。ではまた。

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